日本人にとっては東日本大震災での出来事がフラッシュバックするだろう。
震災や何かの出来事で自分だけが生き残ってしまった人間が思うこと。
自分だけがなんで生き残ってるのか?
そんな問いに対して、生き残った者を優しく、そして力強く肯定してくれる作品は最近だと新海誠監督の「すずめの戸締り」が思い当たる。奇しくも最後のメッセージ性には共通点もみられる。
本作はNetflixの「今際の国のアリス」の続編。
最初から人のいない渋谷に痺れ、息をつかせぬテンポでゲームがスタートし人が死んでいく理不尽な世界。
最後はどう落ち着かせるのか気になる自分と、まだこの世界観にいたい自分がいた。
作品が気に入れば気にいるほどラストに込められる期待値は大きい。
だが本作はそのハードルを見事にこえてみせた。
勿論、漫画っぽいキャラクターや台詞回しに違和感はないでもない。
チシヤの髪の毛妙に傷んでるなとか、チシヤの髭剃り跡が青いにも関わらず何故かいつまで経っても髭が生えない点とか、カーチェイスシーンで何故あれだけ拳銃ぶっ放していてタイヤを狙わないのかとか、ナイフで刺されたり銃で撃たれてるのに全然死ななかったり、まぁ言い出したらキリがない。
けれどそれらを全て帳消しにしてしまうほどの重厚なドラマ性が軽い殺戮ゲームだけに終わらせない、監督の手腕は見事。
生きてていいんだ。
エンタメ要素の強い、ともすれば軽くチープになりがちなテーマが、製作陣の渾身の濃厚なドラマによってここまで昇華した稀な作品である。
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