間違いなく傑作。けどトラウマになる。
久々にみた。2回目の視聴です。
最初に観た時はあまりのインパクトに軽くトラウマになりそうなくらいでした。
『ラ・ラ・ランド』を観てライアン・ゴズリングと言えばこの映画が浮かんで2回目の視聴。
簡単に言うと若気の至りで結婚したカップルが別れる話。もう夢も希望もありません。
破局に向かうまでの話と2人が結ばれるまでの話が交互に進んでいきます。
それがラストに向かうにつれて破局と結婚という対極の話になっていきます。
若い時の話は2人は凄くキラキラしています。
明るいと思っている未来に向かって。ところがいずれくるであろう破局に突き進んでいると思うと胸が張り裂けそうになります。
2回目の視聴ですがこの構成の秀逸さには改めて感心させられました。
圧倒的リアル
冒頭の愛犬が死ぬところから物語は始まります。まるでこれからの2人の未来を暗示しているかのように不吉だ。
「いつか消えてしまう感情を信じられる?」
印象的なミシェルウィリアムズのセリフ。家庭環境から恋愛に対してはあまり前向きではない感じなんでしょうね。
けれど愛するには感情を信じるしかないわけですよ。
夫のライアン・ゴズリングと妻のミシェルウィリアムズはうまくいっていない。
別にどっちかが浮気したとか決定的な理由があればわかりやすいんだけど妻のミシェルウィリアムズの心は完全に離れている。
ライアン・ゴズリングはなんとか2人の関係を修復したい。
で、ラブホテルに誘うわけです。
そのラブホテルに向かう車の中でミシェルウィリアムズが元彼に会った話をするんです。
信じられる?この女何考えてんだ?
しかもこの2人子供って実はその元彼の子供なんです。ライアン・ゴズリングはそれを知ってて結婚したわけです。
もう最悪な女です。
安いラブホテルでロマンティックなムードを演出しようとするライアン・ゴズリングはもはや痛々しくて観ていられなかった。
だけどミシェルウィリアムズはラブホテルでも夫を拒否るんです。
仕方なく諦めたミシェルウィリアムズはやりたくもないけど不貞腐れながらパンツを脱ぐ。
おいおい、そりゃなくないか?
もう最悪。
ここに関してはライアン・ゴズリングに対して同情的な意見が多いですよね。
せっかくライアン・ゴズリング頑張ってるじゃないか。
「欲しいのは君の体じゃない、君自身だ。」というセリフは染みます。
けどね、生理的に無理と思った相手と一緒にいることも苦痛なのは知っているのでミシェルウィリアムズの気持ちもわからなくもない。相手側が努力しようとすればするほどに冷めていく。
特に女性は感情の生き物なのでさらに思うんじやないかな。
ライアン・ゴズリングが明るく振る舞おうとしてるいるのが逆に観ている方はつらい。
ここのラブホテルのシーンは圧倒的にリアルです。こわいくらい。
じゃあどうすればよかったのか?
ミシェルウィリアムズは上昇志向で努力によって夢を叶えたがライアン・ゴズリングはペンキ屋。才能を活かせてないし稼ぎのある仕事につかない夫に対して妻は尊敬できずにいる。
一方、ライアン・ゴズリングは家族が大事だし愛情は常に妻と子供に注がれている。はたから見ればこの上なくいい夫ではある。それ故にどうしたらいいかわからない。
ベクトルが違うとでもいうのか。
ミシェルウィリアムズがライアン・ゴズリングに直して欲しいところを言えばライアン・ゴズリングはそれに対して直す努力はするだろう。
だけどそう言うことじゃないんですよね。
もうすでにミシェルウィリアムズの中では心が冷め切っているのでライアン・ゴズリングが何をしても無理みたいです。
ミシェルウィリアムズも少しはそれに応じようとしようとしたがやっぱり無理!って感じ。
そもそもこの2人は合ってないな思うのが「笑いのツボ」。
ミシェルウィリアムズのジョークがつまらないというシーンやミシェルウィリアムズの大学の講師の名前に一人笑い出すライアン・ゴズリング。
お互いが「おかしい?」と言い合う感じからしてそもそも感性が合ってないということがわかる。
お婆さんの「愛した相手が本当に自分にふさわしいか考えなければならない」というセリフを思い出しました。
相手をよく知る期間って大事なんですよね。
映画史に残るラスト
最終的にライアン・ゴズリングとミシェルウィリアムズは大げんか。原因はミシェルウィリアムズがラブホテルから勝手に帰ったから。
そりゃライアン・ゴズリング怒るわ。
ここまで観てるとやっぱこの妻が悪いと思うんだよな。
最終的にはミシェルウィリアムズはライアン・ゴズリングに対して「女々しい」って言い放つんです。これにライアン・ゴズリングブチ切れ。
こりゃだめだ。最悪。
男はプライドの生き物。それ言われたら怒るわな。
だけどライアン・ゴズリングは怒りがおさまらず止めに入った男を殴ってしまう。
そりゃだめだ。どんなに怒っても暴力振るったら悪くなるんだよ。
家に帰り修羅場の別れ話。
「俺は家族のために戦ってるだけだ」泣きながらそういうライアン・ゴズリング。
「もう無理なの」の一点張りのミシェルウィリアムズ。二人とも迫真の演技です。
結果、ライアン・ゴズリングは家を出ていくんです。そしてお父さんを泣きながら追いかける娘。もうカオスです。
これ以上残酷なエンディングがあるだろうか?
恋だけでは結婚生活は送れないという壮大で普遍的なメッセージ。
役に乗り移る俳優
プロットも演技も素晴らしいですが俳優たちのプロ根性が凄いです。ライアン・ゴズリングは髪の毛を抜いて自らハゲに。
カツラじゃないんです。その覚悟にスタッフは息を飲んだみたいです。
ミシェルウィリアムズも太ってだらしない中年の身体になってましたね。
いいようにみせる日本の俳優と違って海外の俳優は役のためなら死に物狂いで憑依しようとしますよね。作品に対して意気込みが違う感じがします。
この映画、気分が落ち込んでいるときに観てはいけません。
だけど気分がいい時に観ても暗い気持ちになりめす。
観るタイミングが難しい映画です。
だけど超ド名作なのは間違いないです。
困ったね。
【映画・ドラマ】11本目
コメント
結婚後約25年の新婚気分が抜けない自分は見ないほうが良さそうっす。。。
Ikkoさんものすごいスピードでレビューをアップされますよね。自分はようやく1記事追加できました。今回はカンヌをテーマにしたので、よかったら読んでみて下さい。タランティーノについても書く予定です。もちろん仁義なき戦いの記事に触発されています。
(http://txt87.xsrv.jp)