2011年製作/アメリカ映画/100分
天才的なドライビングテクニックを持ち、昼はハリウッドのスタントマン、夜は強盗の逃走を請け負う運転手が、そのテクニックゆえに危険な裏社会の抗争に巻き込まれていく様を描くクライム・サスペンス・ムービー!
以下、ネタバレ感想
↓
個人的にめちゃ好きな俳優であるライアン・ゴズリングをはじめて意識して観た作品。
約10年前の映画だけど今観ても古さなど一切感じない。
全体的には落ち着いたトーンでハリウッド映画にありがちなベタなお膳立てがなく、静のあと突然容赦ないバイオレンスをみせてくれる。
なんか空気感がヨーロッパ映画みたいだなと思ったら監督はデンマーク出身らしい。
日本で言えば北野武の作品にある静かで乾いた暴力に近い。
だから派手なアクションを期待してる人は肩透かしを食らうが爆発ばかりのベタなハリウッド映画に飽き飽きの人にはおススメ。
昼はハリウッド映画のスタントマン、夜は「逃し屋」という裏の職業を持ったライアン・ゴズリングが同じアパートの人妻に惚れ、その旦那の借金を返す為に犯罪を犯すクライムモノ。
人妻の旦那の借金を返すとかどこまでお人好しだよ。とは思ったけど話はここで終わらなくて実はハメられ命を狙われることになり…
ぶっちゃけストーリーは特にたいしたことはないです。今までみたことある様なベタなもの。
だけど映像のセンスはピカイチ。
見せ方でこうも斬新なものへと変化するのかと感心してしまった。
とにかくドライ。
主人公のライアン・ゴズリングの役名は特に語られることはなく最後まで明かされない。
おまけに無表情で台詞も極端に少ないので正直何考えてるかわからない。
この時点で観てる人は好き嫌い分かれそうだ。
電子音を強調したBGMも一見無機質な印象を受ける。
けど都会の綺麗な夜景と合っていて結構お洒落ではある。
人妻のヒロインも可愛くはあるけど童顔すぎて特に色気は感じない(単に私が好みじゃないだけだけど)。
暴力シーンなんかも派手さはなく結構一瞬で決まる。
ヒロインの前で相手をボコボコにし、頭蓋骨を足でかちわり、肉片までグチャグチャにするエレベーターのシーンとかもなかなか容赦ない。
だけどラストの傷を負ったライアン・ゴズリングの目には何とも言えないあたたかさを感じるのは何故だろう?
一番の美しいシーン
どうやらいま話した男の頭を踏み潰す残酷なシーンのすぐ直前のエレベーターで人妻とキスをするシーンにその答えはある気がする。
この映画の中で最も美しいシーンとなっているがこのキスの後のライアン・ゴズリングのバイオレンスっぷりを人妻は目撃しドン引き。
一気に心が自分から離れていくのを悟ったライアン・ゴズリングの切ない目といったら…
だけどそれでも人妻とその子供の命を守る為に殺し屋に挑んでいくライアン・ゴズリング。
人妻と暮らす夢が叶うわけがないのに殺戮を繰り返す愛と狂気のバランスがとにかく切ない。
なのでこのキスシーンは1回目よりも2回目の鑑賞の方が胸にくるものがある。
最後は自分を狙っていたマファアを殺し傷を負いながらも車に乗ってどこかへ行ってしまう。
そして結局最後までライアン・ゴズリングの役名も明かされないまま映画は終わってしまう。
まさに無頼者の「ヒーロー」。
この映画、何日か経ってからの方が余韻に浸れます。
フワフワしてるけど不思議な魅力のある映画でした。
コメント