東京にはふぐ料理店が数多くあるが、実際に通ってみると実力差ははっきりしている。
本記事では数を並べることはせず、料理・構成・空気感まで含めて「この店なら間違いない」と感じた都内のふぐ料理店を5店に絞って紹介する。
話題性や評判ではなく、体験を軸に選んだ実力店のみを整理した。
六本木/味満ん
都内でふぐと言えばまずは「味満ん」の名前をあげる人が多いだろう。
1981年創業のふぐの名店で、一見お断り。紹介者がいないと予約ができないお店。
店主・松原貞夫氏は創業以来、飾らない接客が常連客に人気を集める人気店。
2人の息子たちが目利きと技を受け継ぎ、毎朝豊洲市場に足を運び、全国各地で水揚げされた天然トラフグの中からその日最良の品を選別して料理を提供している。
産地は固定せず、何十年と付き合ってきた信頼のおける仲買が選りすぐったものの中から選んでいる。
2019年当時で予算五万円ほど、2025年で八万円ほど。ふぐ屋の中でも高価格帯に位置するが、その内容は別格。
その分、ふぐ刺し(テッサ)、白子焼き、唐揚げ、鍋、〆の雑炊まで全てが絶品で、都内トップクラスのクオリティ。
店内は小規模なカウンターと小部屋。家族経営で温かい雰囲気がある。
クレジットカードは不可で現金のみなのでご注意を。

麻布十番/小やなぎ
創業は1962年9月。芸能人も御用達のふぐ専門店。
先代は現店主の親父さんではなく、叔父さん。
フグはその時々で最高のフグを仕入れるが、特筆すべきなのが自家製ポン酢のクオリティ。
さらに大抵、鍋は店の人が火入れを行うが、こちらでは自身でしゃぶしゃぶスタイルで火入れできるのも特徴。
白子は追加で焼きと鍋用も用意されている。
ヒレ酒も他店に比べてヒレの枚数が多く長く楽しめる。自分でヒレを炙る体験も乙である。

稲荷町/ふぐ 牧野
創業は90年以上前で三代続く予約困難な老舗ふぐ屋。
台東区松が谷エリアにひっそり佇む。2023年には一年間かけて改装工事を行った。
ちなみに「焼ふぐ」の元祖として知られている。
さらにふぐ専門店なのに名物は「蟹大根鍋」。
大根の甘みと蟹の潮(うしお)出汁を白味噌とバターでまとめた濃厚な鍋は、〆の雑炊まで一気に平らげたくなる中毒性を秘めている。

白金高輪/めうが
1973年創業で赤坂から白金高輪に移転。
一見お断りのお店で、常連さんに連れてきてもらうしか来店方法はない。
煮凝りは他の店よりはるかに出汁が強い。
テッサ(ふぐの刺身)はあん肝を包み、そこに魔法の粉(カボス塩)をふりかけていただくのがめうが風。中毒的で暴力的な旨み。
河豚の手鞠寿司や、焼いた河豚皮も個性的。

六本木/とく山
創業は1978年。
「株式会社とくやまホールディングス」によるふぐ屋で、神奈川・高津にある「鮨長」などと同じグループ。

店名の由来は「徳のある方が山ほど集まるお店になるように」との願いが込められている。
てっさは一般的には薄造りが主流だが、とく山のてっさは分厚いカットが特徴的で、ふぐの弾力を存分に楽しめる。
ポン酢はキリッとはしているがどこかまろやかで紅葉おろしのピリ辛も絶妙。
鍋、雑炊と定番の流れで存分にふぐを堪能できる。

まとめ
素材は同じでも、扱い方、構成、店の空気感によって体験の質は大きく変わる。
本記事では実際に通い、その違いをはっきり感じられた店だけを5店に絞った。
このまとめが、都内でふぐ店を選ぶ際の判断軸になれば幸いです。
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