オフィス街として知られる溜池山王は、赤坂や虎ノ門にも近く、平日の昼になると周辺の飲食店が一気に動き出すエリアである。安く食べられる店から、ひとりで入りやすい店、時間を取ってゆっくり楽しめる店までランチの選択肢はかなり広い。
本記事では、実際に訪れた溜池山王駅半径800mに絞ってラーメン、中華、カレー、和食、洋食などジャンル別に紹介する。赤坂エリアと重なる店も含め、溜池山王駅からランチで利用しやすい店を中心にまとめていく。
※新しい店を訪問次第、随時更新する。
ラーメン
Ramen 翡翠

赤坂に2025年2月オープンした「Ramen 翡翠」。「Ramen Break Beats」で経験を積んだ店主・渡邊亮氏が独立した店。

黒さつま鶏、押岡地頭鶏、信濃地鶏、名古屋コーチンの4種の地鶏を使った無化調スープと、国産小麦100%の自家製麺を軸に一杯を組み立てる。
醤油も全国6カ所の蔵元を巡って選んだ木桶仕込みの天然醸造醤油をブレンドするなど、素材へのこだわりは徹底している。
特製塩ラーメンは地鶏に貝類、魚のアラ、乾物、貝柱など20種類以上の素材を重ね、あっさりとした口当たりながら旨味は驚くほど複雑。それでいて味が散らからず、レンゲが止まらなくなる。
自家製麺もしなやかでコシがあり、訪問を重ねるごとに製麺の進化を感じられた。
醤油、塩ともに素材の旨味を幾重にも重ねた、赤坂・溜池山王エリアでも注目のラーメン店。

博多ラーメン 和

赤坂に構える「博多ラーメン 和」。2014年創業の博多ラーメン専門店で、豚の頭から爪先まで使い、「呼び戻し製法」と「取りきり製法」を組み合わせて炊き上げる豚骨100%のスープが特徴。
麺は福岡の老舗「トリオ製麺」から直送する低加水の細麺を使用し、替え玉は1玉無料となっている。
泡立ったスープは豚骨の臭みがなく、濃厚ながら塩味で押すタイプではない。ふわっとクリーミーな口当たりから豚の旨味と熟成による深みが広がり、余韻までしっかり残る。
低加水麺も小麦の香りと粉感が強く、スープとの絡みは申し分ない。しっとり柔らかなチャーシューも脂身と赤身のバランスがよく、赤坂・溜池山王周辺で濃度の高い博多豚骨を食べたいときに外せない一軒。

左とう

赤坂見附駅から徒歩2分ほどの「中華蕎麦 左とう」。横浜「丿貫」で経験を積んだ店主が新橋での間借り営業を経て、2025年3月に赤坂見附へ実店舗をオープンした。
牡蠣を中心に乳化させた濃厚白湯と煮干し清湯を合わせた「牡蠣蕎麦」を軸に、日替わりの限定蕎麦や創作和え玉も揃える。
牡蠣蕎麦はポタージュを思わせる濃度があり、ふくよかでクリーミー。それでいて雑味はなく、牡蠣の旨味が口いっぱいに広がって余韻まで長く続く。
菅野製麺所の極細ストレート麺はかなり硬めで、ボキボキ、ザクザクとした歯切れが濃厚なスープに強い食感を加える。具材を絞った端正な構成も含め、牡蠣の存在感を真正面から楽しめる個性的な一杯。

希須林 赤坂

2005年オープンの「希須林 赤坂」。青山の中華料理店を母体に持つ担々麺専門店で、胡麻のコクを効かせた濃厚なスープと、揚げたての排骨を合わせた一杯が名物。
排骨担々麺は、真っ赤な見た目に反して辛さ一辺倒ではなく、胡麻のまろやかさと酸味がきれいに重なる。
そこへ衣をまとった排骨の脂と香ばしさが加わり、食べ応えのある仕上がり。
半ライスも無料で、溜池山王・赤坂見附周辺でしっかり腹を満たしたいときにおすすめ。
中華
四川DINING 望蜀瀘

赤坂駅から徒歩数分、溜池山王からも徒歩圏内にある「四川DINING 望蜀瀘」。
麻婆豆腐や火鍋を中心に、唐辛子と花椒を大胆に使った四川料理を楽しめる一軒。
麻婆豆腐は甘みに頼らず、香り高い自家製辣油の辛さと山椒のビリビリっとした強烈な痺れが印象的。火鍋も物凄い量のホールの花椒が入っており、刺激はかなり強烈で、濃厚な旨味のあとから舌がジンジンと痺れる。
辛さも痺れも遠慮のない、溜池山王・赤坂エリアで刺激的な四川ランチを味わえる店。

四川小吃 雲辣坊

赤坂見附駅から徒歩3分ほど、2011年にオープンした四川料理店「四川小吃 雲辣坊」。
四川の日常的な料理を意味する「小吃」を掲げ、麻婆豆腐を中心に、花椒や唐辛子をしっかり効かせた四川料理を幅広く提供している。
ランチで実食したのは、強烈な名前が目を引く「変態麻婆定食」。
豆板醤の塩味と辛さを軸に、花椒の痺れ、香り高い辣油が重なるシャープな仕上がりで、甘さはほとんどない。
名前から想像するほど極端な辛さではなかったが、挽肉にもスパイスの風味が入り、四川麻婆豆腐らしい刺激を楽しめる。
スープ、漬物、サラダ、杏仁豆腐まで付くなど、溜池山王・赤坂見附周辺でしっかり中華ランチを食べたいときにも使いやすい一軒。

炎麻堂 赤坂店

赤坂駅から徒歩数分、溜池山王からも徒歩圏内にある「炎麻堂 赤坂店」。
麻婆豆腐を中心に担々麺や中華料理を揃え、ランチでは辛さを5段階から選べる麻婆豆腐定食を提供している。
麻婆豆腐は挽肉の旨味に自家製辣油や山椒、豆板醤の香りを重ねたオイリーな仕上がり。しっかり辛さと痺れを効かせながら、甜麵醬によるほのかな甘みが全体を丸くまとめ、刺激だけに偏らない奥行きのある味わいを楽しめる。

そば・うどん
室町 砂場 赤坂店

1964年創業の「室町 砂場 赤坂店」。日本橋に本店を構える室町砂場の支店で、「藪・更科・砂場」と並ぶ江戸蕎麦御三家の一角、砂場の系譜を受け継ぐ。

室町砂場は戦後間もない頃に「天もり・天ざる」を考案した店として知られ、赤坂店でもその伝統的な味を楽しめる。
蕎麦は細打ちで艶があり、喉越しの良さと香りが印象的。
もちろん、蕎麦は元来「腹を満たすものではなく、おやつ」だったため、量は極小。
山葵を蕎麦に直接のせ、甘く深みのあるつゆにサッとつければ、蕎麦、つゆ、山葵の香りがきれいに重なる。
名物の天もりは熱いつゆと冷たい蕎麦の温度差も面白く、江戸蕎麦らしい軽快さを味わえる。量は控えめだが、酒を楽しんで蕎麦で締めるという江戸の食文化まで含めて楽しみたい一軒。
葉隠

2005年創業の「葉隠」。赤坂の老舗「赤坂 橋場」で約13年修業した酒井竜也氏が独立し、その味をベースに、より関西寄りに仕上げた「関西讃岐うどん」を提供する。
昼時には地下へ続く階段に行列ができることも多く、ランチでは五目いなりや週替わりのご飯が付く。
名物のカレーうどんは、出汁の旨味と胡麻の香りを効かせた穏やかな仕立て。たっぷりのカレーを持ち上げるうどんは、ふわっと柔らかさがありながらモチモチとした食感も残る。
出汁、スパイス、麺のバランスがよく、誰が食べても素直に美味しいと思える普遍的なカレーうどん。

和食
やげんぼり 赤坂店

赤坂見附駅から徒歩3分ほどの「やげんぼり 赤坂店」。明治37年に京都で創業した「やげんぼり」系列の京料理店で、夜は会席料理を中心に提供する一方、昼は出汁巻玉子を主役にした「八坂」が名物となっている。
出汁巻玉子は驚くほど大ぶりで、箸を入れるとぷるんと柔らかく、甘さはなく出汁の旨味がしっかり。
醤油を垂らしておひつのご飯にのせ、一気にかき込む食べ方もよく合う。ひじき、じゃこ、漬物、赤だしまで付き、ご飯はおかわり自由。
関東ではあまり馴染みのない「出汁巻玉子をおかずにご飯を食べる」という京都らしい定食を、赤坂で体験できる一軒。
天茂

1964年創業の「天茂」。初代は銀座「天一」で修業し、現在は英語教師から料理人へ転身した娘が二代目として店を継ぐ。昭和の面影を残す店内では、ランチに天丼とかき揚げ丼の2種類を提供している。
かき揚げ丼は、小海老と小柱をたっぷり使った厚みのある仕上がり。揚げたてをジュッとタレに浸すため、衣からご飯まで甘辛い味がしっかり染み込み、かなり力強い味付けとなっている。
それでも海老と小柱の存在感は埋もれず、柚子皮の香りがアクセント。ボリュームも十分で、腹持ちのいい一杯。
とんかつ まさむね

溜池山王駅から徒歩数分、赤坂からもアクセスしやすい「とんかつ まさむね」。
2013年創業で、群馬県産「和豚もちぶた」と桑名の米油を使ったとんかつが中心。上ロースかつに加え、インド料理の経験を生かしたスパイス香るカツカレーも名物となっている。
実食した上ロースかつはかなりの厚みがあり、中粗の衣は香ばしくサクッと軽い。
豚肉はきめ細かく、噛むとエキスが溢れ、脂にも程よい甘さがある。それだけ大ぶりなのに後半まで重さが残らず、食べ疲れしないのが印象的。
佐渡産「こしいぶき」のご飯と合わせて、溜池山王でしっかりとんかつを食べるならココ。

とんかつ檍 赤坂店

赤坂駅から徒歩3分ほどに店を構える「とんかつ檍 赤坂店」。蒲田に本店を置き、全国に店舗を展開するとんかつ檍の赤坂店。
柔らかさと脂の甘みを特徴とする千葉県産銘柄豚「林SPF豚」を使用している。
厚みのある豚肉を純正ラードで揚げ、衣の香ばしさと肉汁を閉じ込めた仕上がりが特徴。
卓上には自家製ソースに加えてヒマラヤ岩塩など複数の塩が用意され、とんかつの脂や赤身の旨味をそれぞれ違った方向から楽しめる。
米には佐渡島米を使用するなど、とんかつ以外にもこだわりが見える。
しょうが焼きBaKa 赤坂見附店

赤坂見附駅から徒歩3分、溜池山王からも徒歩圏内にある「しょうが焼きBaKa 赤坂見附店」。
2019年に神保町で始まった生姜焼き専門店で、「大麦仕上三元豚」などの豚肉に、高知県・壬生農園の囲生姜、甘みの強い淡路島産玉ねぎを組み合わせる。
定番の「BaKa生姜焼き定食」は、甘辛く濃厚なタレをまとわせた豚肉に、細く刻んだ生姜を豪快に重ねた一皿。
生姜の鮮烈な香りと辛味が豚の脂やタレの甘みを引き締め、白米が進む力強い味わいに仕上がっている。
洋食
オーセンティック

2006年創業、赤坂に店を構える「オーセンティック」。グルメバーガーを専門とし、粗挽きパティの肉感を軸に、バンズや野菜、ソースまで一体感のあるハンバーガーを提供する。
店内には肉を焼く香りが漂い、カウンターとテーブルを合わせて22席ほど。
実食したベーコンチーズバーガーは、ふわっとモチッとした胡麻入りバンズに肉々しいパティ、カリカリのベーコンを重ねた王道の構成。
マヨネーズのコクとマスタードの酸味が肉の脂を受け止め、シャキッとしたレタスとみずみずしいトマトが後味を軽くする。しっかり肉を食べた満足感がありながら、不思議と重たさを残さないバランスの良さが印象に残る。

前田食堂

2022年11月14日オープンの「前田食堂」。北海道の食材を取り入れたカジュアルビストロで、ランチでは「人生最高ハンバーグ」を提供する。
夜は肉や魚介のグリルとワインを楽しむビストロとなり、カウンター越しに調理を眺められるライブ感も魅力。
実食したチーズハンバーグは、箸を入れた瞬間に肉汁があふれるほどジューシー。粗挽き肉の力強い食感に、ミルキーなモッツァレラとマスタードクリームが重なる誰が食べても分かりやすい旨さ。
さらに後半はご飯を鉄板へ投入し、残った肉汁やチーズ、ハンバーグを混ぜればリゾットのような仕上がりに。昼からかなりヘヴィだが、それに見合う満足感がある。

カレー・エスニック料理
胡粋

赤坂駅近くの地下に構える「胡粋」。下北沢での間借り営業を経て、2022年に赤坂へ実店舗をオープンした。
定番の「ほうれん草塩麹チキンカレー」と「タイ風グリーンポークカレー」に加え、キーマなどを組み合わせた3種盛りが楽しめる。
3種盛りは、まろやかな塩味とスパイスが重なるほうれん草塩麹チキン、オクラの粘りや茄子、ヤングコーン、山芋の食感が際立つグリーンポーク、花椒の痺れを効かせた麻辣豚キーマという構成。
インド、タイ、中国の要素が一皿で交差しながら、それぞれの個性が埋もれない。
素材の食感やスパイスの重なりが特徴の独自性の高いスパイスカレー。

エリックサウス 東京ガーデンテラス店

永田町駅直結の東京ガーデンテラス紀尾井町に構える「エリックサウス 東京ガーデンテラス店」。
南インド料理を日本に広めてきた稲田俊輔氏が総料理長を務めるブランドで、ミールスをはじめ、ビリヤニやカレー、スパイス料理まで幅広く揃える。
エリックチキンビリヤニは、香りの長いバスマティライスにカシューナッツやパクチー、柔らかなチキンを合わせ、お焦げの香ばしさもアクセントに。
ただ、スパイスの刺激はかなり穏やかで、エッジの効いたビリヤニを期待すると少々物足りない。
別添えの辛いソースを加えると酸味とスパイスが一気に立ち上がる。食べやすさを優先した、日本人向けのビリヤニという印象が強い。

タイ料理 ピピアイランド 赤坂

赤坂見附駅から徒歩3分ほど、2020年にオープンした「タイ料理 ピピアイランド 赤坂」。
長いキャリアを持つシェフが、国産食材を使いながら現地の技法を軸にタイ料理を組み立てる。ランチではガパオやグリーンカレーなどの定番に加え、サラダやスープを合わせて楽しめる。
「本場の辛さ」でオーダーするとかなり容赦なく、ガパオは店内でむせる人が出るほど刺激的。
それでも単に辛いだけではなく、酸味、甘味、パクチーやスパイスの香りが次々に重なり、味が立体的に広がる。
グリーンカレーもココナッツのまろやかさの後から辛さが追いかけ、タイ料理らしい足し算の面白さをしっかり味わえる一軒。

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