1955年に東京・永福町で創業した「永福町大勝軒」。煮干しを軸にした熱々のスープとたっぷりの中華麺を特徴とし、その味を受け継ぐ店は東京だけでなく関東各地へ広がっている。
本記事では、永福町大勝軒を源流とする系列・出身店・亜流店を実際に食べ歩き、それぞれの一杯と本店から受け継いだ特徴、店ごとの違いを紹介する。
※新しい店を訪問次第、随時更新する。
東京エリア
永福町 大勝軒|2玉の麺と巨大な丼で味わう本家の中華麺【創業1955年3月】

1955年創業の「永福町 大勝軒」は、数多くの店を生んだ本家本元。
中華麺は巨大な丼に麺2玉が標準で入り、草村商店の中太麺をたっぷりのスープとともに味わう。量が多い場合は麺少なめにも変更できる。
スープは動物系のふくよかな旨味に煮干しが香り、ラードによって最後まで熱さが続く。
柔らかめの麺がスープをよく持ち上げる。一方、チャーシューは小さく物足りなさがあり、いずれにせよスープと麺とネギだけで完成された一杯。

草むら|永福町大勝軒とルーツを同じくする老舗【創業1950年】

永福町の「中華麺舗 草むら」は1950年創業。永福町大勝軒の出身店ではなく、両店の背景に製麺卸「草村商店」があり、創業者同士も親族という関係を持つ。
永福町大勝軒より先に開業しており、一般的な「永福町大勝軒系」とは異なる位置づけの店。
中華麺は動物系のコクに煮干しを重ねた醤油スープで、化学調味料もほどよく効かせた昔ながらの味。
草村商店の中細縮れ麺はかなり柔らかめで、硬め指定でも一般的にはまだ柔らかいほど。
しっかり味の染みた煮豚やメンマ、ネギ、海苔、ナルトまで含め、昭和の町中華らしさが色濃く残る一杯。
弘前軒|梅ヶ丘大勝軒仕込み、弘前りんごも使う一杯【創業2004年5月】

百草園の「弘前軒」は、永福町大勝軒で直接修業した店ではなく、その系譜にあたる「梅ヶ丘大勝軒」出身の店主が営む店。
通常は麺2玉で、1玉にすると煮たまごか温泉たまごが付く。店名は女将の出身地・青森県弘前市にちなみ、弘前産りんごを使うなど独自の工夫も加えている。
実食したつけ麺は、煮干しと節を効かせたさらりとしたつけ汁で、醤油の風味に甘みと酸味が重なる。
ただし汁が軽いため中太麺には絡みにくく、1玉では量も物足りなかった。スープ割りでは魚介の旨味がよりはっきり感じられ、この味ならつけ麺より温かい中華そばで食べたいと感じた。

中華そば専門店 勝や|麺半分でワンタンかチャーシューを増量【創業2006年5月】

梅ヶ丘の「中華そば専門店 勝や」は、かつて同地にあった「大勝軒」の跡地を引き継いで2006年に開業。
永福町大勝軒のスタイルを受け継ぐ店ではあるものの、店主が本店で修業した直系店ではない。
通常2玉の中華麺を半分にすると、ワンタンかチャーシューを増やしてもらえるサービスも特徴。
スープは煮干しの香りと動物系のコクのバランスがよい。中細縮れ麺はスープを吸って徐々に柔らかくなり、ホロッと崩れるチャーシューと肉感のあるワンタンもしっかり旨い。
麺半分+ワンタン増しにすると、量による単調さも抑えられ、最後まで食べやすかった。

稲城 大勝軒 五一|トロトロのワンタンを添えた中華麺【創業2011年5月】

南多摩の「稲城 大勝軒 五一」は、永福町大勝軒出身の店主が2011年に開いた直系の一軒。しかし永福町大勝軒のHPには記載されていないの独特な立ち位置のお店。
本家と同じく大きな丼にたっぷりのスープと麺を盛るが、胡椒の刺激は控えめで、煮干しと動物系の旨味を穏やかにまとめている。柚子や海苔の香りもよく効き、より飲みやすい仕上がり。
中細麺は柔らかく、食べ進めるほどスープを吸って馴染んでいく。ワンタンは肉餡こそ小さめながら皮がトロトロで、チャーシューは柔らかい一方、訪問時はややパサつきも感じた。
麺量はかなり多いため、少食なら麺少なめが無難。それでも昔ながらの醤油ラーメンらしい素朴さが心地よく、個人的には本家より好みに合う味だった。

笹塚 大勝軒|塩味を抑えたやさしい煮干し中華麺【創業2019年9月】

笹塚の「笹塚 大勝軒」は、「永福町大勝軒」で6年以上修業した店主が2019年に開業。
煮干しを中心とした魚介の香りに動物系の旨味を重ね、大きな丼にたっぷりの麺を盛る永福町系のスタイルを受け継ぐ。
「しょうがそば」や「みそラーメン」もあり、永福町系の流れを汲みながら独自の仕立てを加えている。
中華麺は煮干しの風味がしっかりありながら、動物系や醤油、塩味はいずれも穏やか。あっさりとしたスープがじんわりと染みる。赤身主体のチャーシューもさっぱりとして肉の味を感じられる。

昭島大勝軒|昭島の味を立川で復活させた中華そば【創業2024年11月】

立川駅北口の「昭島大勝軒」は、かつて昭島で続いた「昭島大勝軒」の味を受け継ぎ、2024年11月25日に復活した店。
昭島時代の初代は永福町大勝軒で修業した直系だが、その後は代替わりを重ね、現在は「中海岸大勝軒」店主の公認・直接指導を受けた地元企業が運営する。永福町大勝軒の流れを汲みつつ、直系店ではない。
スープは煮干しの香りと動物系の旨味を強めに出し、永福町大勝軒よりやや濃い印象。
麺量は本家より控えめながら十分なボリュームがあり、草村商店の麺を合わせる。昭島時代に感じた穏やかさを残しながら、より力強い味に寄せた中華そば。

神奈川エリア
日吉 大勝軒|一玉から選べる学生街の大盛中華そば【創業2010年2月】

日吉の「日吉 大勝軒」は、2010年オープン。麺は二玉が基本だが、一玉にも変更できるため、永福町系のボリューム感を好みに合わせて楽しめる。
学生街の日吉にありながら、昔ながらの中華そばをそのまま出す店として定着している。
実食では魚介の香りがしっかり立ち、動物系のコクと醤油のキレもバランスよくまとまっていた。
微縮れの中細麺は柔らかく、スープをよく吸って馴染む。これまで食べた永福町系の中でも魚介の風味が強く、一玉を選べる使いやすさもこの店の特徴。

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