映画「 天気の子 」【ネタバレ感想】主人公の身勝手さに終始感情移入できなかったです (60本目)

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高校1年の夏、帆高(ほだか)は離島から家出し、東京にやってきた。連日降り続ける雨の中、雑踏ひしめく都会の片隅で、帆高は不思議な能力を持つ少女・陽菜(ひな)に出会う。「ねぇ、今から晴れるよ」。それは祈るだけで、空を晴れに出来る力だった――。天候の調和が狂っていく時代に、運命に翻弄される少年と少女が自らの生き方を「選択」する物語。

ここからはネタバレ感想なのでご注意を。


 

毎度お馴染みのテーマ「距離」

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新海誠監督は毎回「離れ離れになった男女の物語」を描いている。

「秒速5センチメートル」では「遠距離」になり初恋の相手をいつまでも引きずる男の話。

「言の葉の庭」では15歳と教師という「歳の差という意味での距離」。

前作「君の名は。」では隕石落下する前と落下した後の3年間という「時間の距離」。

そして今回はというと天の上との神話的?な距離。

というか陽奈が天に召されないと雨は続いてしまうとか取って付けたような設定だし毎回そんなに無理やり「距離」を生み出さなくても。

男女が離れ離れにないと物語を進行させることができないワンパターンな監督とそろそろ揶揄されても不思議じゃない。

今までは「相手を想って会いに行く」というのが誰にも迷惑がかからなかったんだけど今回は特に他人に迷惑かけまくり。

それが特に酷くて自分さえ良ければいいという考えが鼻について仕方なかった。

ちょっとこの辺りを詳しく指摘していくとする。


 

自己中な主人公

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何が嫌かってこの主人公、帆高の身勝手さだ。

何の理由で島から東京に家出してきたのかわからないが(その理由も特に明らかになっていない)、親は当然心配するだろうし捜索願だって出すだろう。

捜索願が出されるということは多くの大人が帆高の為に動くのであって自分の起こした行動が人に及ぼす影響を想像すらできないガキだということ。

それが後半にもよくあわられており、陽奈に会いたいからと言って警察に暴力はふるうわ、拳銃は向けるわ周りの大人(須賀と夏美)を巻き込むわで自分勝手にも程がある。

それを手助けしてしまう須賀と夏美もどうかと思う。

結局この帆高の為に二人だって警察に捕まってしまうわけだし。

この帆高というキャラはなんとなく「仁義なき戦い」の北大路欣也が主演した二作目を思い出す。

あの主役も惚れた女の為とか言いながら独りよがりな恋愛観で人とか殺したりする自分勝手な奴だった。周りはえらい迷惑だよ。

しかも最終的には「陽奈がいるならこの世界は異常気象のままでいい」とかぬかしやがる。

この台詞にはちょっと引いてしまった。

本当に自分の事しか考えてないんだな…

今年は特に日本では洪水なんかで被害に遭われた方が大勢いる中で惚れた女と一緒にいたいから他人はどうなってもいいとかいう自己中すぎるガキを主人公にすることへどうしても違和感を感じてしまう。

事情を知らない瀧の祖母なんかは「昔に戻っただけさ」とか言って自分を納得させてたけど家が沈んでるから。

自分が生活していた場所が沈んでしまうってどんな気持ちなのかおそらくこの帆高にはわかるまい。

前作の「君の名は。」の時は「会いたい+街を救う」だったが今回はただ「会いたい」だけで「他人はどうなろうと知ったこっちゃない」という面が見れて前作にあったカタルシスどころか観ているうちにどんどん気持ちが冷めてしまって全くもって自分の心には刺さらなかったというのが正直な感想だ。


 

前作を引きづりまくっている

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全く違うアプローチも期待してはいたんだけど「案の定」というか、むしろ前作を引きずりまくっている。

監督は「勝ちパターン」みたいなのを発見したのかわからないがストーリー自体はやはり前作には及ばない。

前作の主役の瀧や三葉もちょこっと出てたんだけど監督のサービス精神からなのかわからないけど個人的には前作を引っ張りすぎてていらん演出だなと思ってしまった。

こういうことされるとこの作品に自信ないの?と思ってしまう天邪鬼な私です。

エンディングの入り方も前作とほぼ同じ感じ。

しかもまたしてもラッドだしどうしても冒険心がない監督さんなのかなと感じてしまう。

あえて前の天門に戻してもよかったのに。

特に気になったのが帆高の声優が瀧とそっくり。声というか「感情の昂ぶるシーンのトーン」が瀧と丸かぶりでこれはそのままコピーでは…

だったらもう神木隆之介でいいじゃんってレベル。

しかも見た目も似てるし…

前作の御神体どうのこうのの少し説教くさいシーンも新海誠作品には斬新だなと思ってたけどまさか今回も取ってつけたような感じでそういったシーンもあって…

こうなってくると前作の成功フォーマットを丸々と引き継いだだけの映画のような気がして仕方ない。

唯一褒められるのは街並みの描写。

これは相変わらず綺麗だ。

ここに関してだけはどんどんレベルが上がってる気がするし特に花火のシーンは新たな試みではないだろうか。

私のホームの新宿がよく出てきたり、今回はやたらラブホテル街の描写も多くて個人的には馴染み深い風景が出てきたのにはちょっと嬉しかった。

ここら辺は地方の人が観るのとは違う印象だろうな。

未成年だけでラブホテルに泊まるシーンは嫌いじゃないけど子供と観に行ってる親からすると微妙かも。

子供に説明しづらいよね。

この映画って観る人によって全く印象が変わると思ってて私はどうしても親目線で観てしまった。

だから一層この16歳の少年の自分勝手な行動に共感できなかったしなんなら警察のオッサンの身になって観てしまったくらいだ。

これが同年代だったりいまだに心がファンタジーに溢れてる人ならこの冒険活劇に胸踊るんだろう。

どちらがいいか悪いかではなくこれはこれである種のエンタメなのでね。

色々と言ったけどどうなるんだろう?と気にはなって最後まで観てしまったので凄くつまらないわけではないんだなと思う。

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