細部に至るまでリアルすぎるプロット
暇すぎたのでNetflixで配信されていた「コンテイジョン」というパニック映画をみた。
タイトルの「contagion」とは「接触感染」という意味。
いままさに我々の周りで起きているパンデミックを予言したかのような内容となっている。
暇だったので久しぶりに映画の感想でも書いてみるとする。
香港で謎のウイルス感染が発生し、驚異的なスピードで全世界へ広がっていった。
米国疫病対策センターは危険を承知でドクターを感染地区へ送り込み、WHOがウイルスの起源を突き止めようとする中、ある過激なジャーナリストの発言が人々の恐怖を煽り、社会は崩壊していく。
はたして人々が選んだ決断とは?
以下、ネタバレ感想
↓
まずはネタバレから
この映画の何が秀逸かと言うと映画のラストに感染初日を描いたこと。
いわば起承転結の起をラストに持ってくることで感染の原因が明かされる。
中国の片田舎で感染症を持ったコウモリがバナナをかじり豚小屋にその糞を落とした。
そしてその糞を食べた豚が出荷され、香港の料理店でシェフによって調理される。
そのシェフは調理中にとある女性客に呼び出され中断。
シェフは女性客と握手したことからこの女性客に移りあっという間にここから感染者が爆発的に広がる。
この流れはまさにいま起きてるコロナウィルスを彷彿とせざるを得ない。
この感染経路は我々の普段の日常生活でも非常にありふれているもので思わずゾッとする。
いかに手洗いが大事か思い知らされるしいつまたこの様な新たなウイルスが発生するかわからないなと妙に納得してしまった。
監督のソダーバーグは無駄な描写を省きまくって徹底的なリサーチのもとこの映画を作ったようで映画というよりもドキュメンタリーチックな描き方である。
なので余計な人間ドラマのシーンなどはほぼ、なく序盤からわりとテンポよく進む。
話はいくつかの登場人物の目線で描かれており特に誰かが主人公という感じではない。
マッドデイモンは面白みのない役
さっき話した女性客こそマッドデイモンの嫁でありグウィネス・パトロウが演じている。
彼女は映画の冒頭でウイルスに感染し、あっという間に亡くなってしまう。
感染経路を辿ると不幸なことに嫁の浮気が発覚。
さらに子供までもが感染によって死んでしまう。
マッドデイモンは残されたもう一人の娘を守るため奔走するという設定なんだけど妻と子が同時に亡くなったにも関わらず悲しみの描写はほぼない。
むしろ監督はそこの人間ドラマに重きを置いてないのでこちらとしても淡白な印象を受ける。
正直言って割愛しすぎてる様な気がするしそこを映画として観てる人は批判する部分か。
その人間ドラマがごっそり抜けてる分マッドデイモンのパートのつまらなさといったらない。
彼自身特に何かを成し遂げる役でもなくびっくりするくらいこの映画でマッドデイモンは活躍してない。
一般人という面白みのない役柄でよく引き受けたなと思う。
まぁあくまで一つのコマとしてのキャラなので仕方あるまい。
医師のローレンスフィッシュバーンも自分の彼女にシカゴ封鎖前に退避するように言ったことがテレビ中継中のジュードロウに暴露され責任を取らされる残念な役。
せっかく有名俳優使ってるのに見事に活かそうとはしないのは監督の思惑か。
一番興味深いのがジュードロウ演じるジャーナリスト
一番興味深いのがジャーナリストのジュードロウのパート。
自身が感染者を装い、「レンギョウが特効薬だ」と嘘の情報を流しブログで大儲け。
詐欺罪で捕まってしまうがまだ彼を信じる人たちからの莫大な保釈金でなんと保釈。
結果、悠々自適な生活を送るという皮肉。
新型ウイルスに関してあまりに無知な我々はこのネット社会で簡単に騙されてしまう。
現にいまコロナに関するいくつものデマ情報も出回ってたりその度に我々は翻弄されている状態。
「レンギョウが特効薬だ」と言えば街からレンギョウが消え、それを求めて暴動が起きたり…
全く有り得ないことはない。
むしろトイレットペーパーの品不足の件にしたってそれに近いことが現実世界でも起きている。
もはやいつジュードロウの様なブロガーが現れても不思議ではない気がする。
そして意外にもそういうずる賢い人が最後まで生き残ったりするんだよね…
緻密な取材を重ねたプロットはいま観ると非常に巧みで劇中では「感染を避ける為、人との接触をさけること」を徹底してたり、マッドデイモンの娘の「春だけじゃなく夏も無駄にするのね」というセリフは妙に生々しい。
医療崩壊、街が廃墟の様になる映画の世界はすぐ先の我々の未来なのか。
映画では最後ワクチンが開発され一応はハッピーエンド?で終わるが果たして我々のこのウイルスとの戦いはどうなるかわからない。
映画としてはどうなのかな?と思う所は多々あるがこれを2011年当時に製作していたことが驚きだ。
これを観て危機感を高めるという意味でも時間のある今観ておく作品だと思いました。
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