石川・金沢の焼き鳥屋「蛤坂 まえかわ」。
いわゆる金沢の予約困難な焼鳥屋。
こちらの前川大将は東京・目黒の名店「鳥しき」の出身です。
お店は築100年の建物をリノベーションし、趣ある外観。こりゃ地方ならではですね。
鳥しき出身ではあるが、ストップ制ではなく、おまかせコース(13,500円税込)である。
スタートもバラバラではなく、2回転でキッチリコースを堪能させてくれます。
店内は靴をあがるスタイルで、時間になるまで待合室で待たせてもらいます。この時、撮影に関してなど注意事項を受ける。
席はL字カウンター8席のみ。
お弟子さんたちの掛け声や動きもピシッとしている。金沢にいながらどこか「鳥しき」の凛とした空気感を感じる。
使う鶏は高坂鶏、伊達鶏など。鳥しき出身者はみんな伊達鶏オンリーかと思ってたのでちょっと意外でした。
さらに石川の旬の食材をふんだんに使い、コースからこの地と季節を知らせてくれる。
大将: 前川良輝さん
「鳥しき」で研鑽を積み、鳥しきの分店であるニューヨークの「鳥えん」でも腕をふるっていた方。
2020年12月10に同店をオープンさせ、ミシュランガイド北陸2021年度版では一つ星を獲得。
現在予約はOMAKASEのみ。
2024年5月訪問
・高坂鶏のもも肉
新玉葱には能登島の塩の塩ポン酢がかかっている。地鶏ならではの皮の厚さ、ハリのあるもも肉は旨味も濃く塩ポン酢でさっぱりと。
・かしわ
やはり焼鳥と言えばかしわですよ。鳥しきでも最初に出てくる一品でいわば焼き鳥の顔的存在。
プリっとしてジューシー、鼻を抜ける薫香、品のある甘辛のタレ。秀逸です。
・マルハツ
伊達鶏のマルハツはプリっと口中でジューシーが爆発。
ごま油の風味や新生姜がハツのジュースと口内で一体となる。
・アスパラ
これが驚くほどジューシーで香りもいい。水分コントロールが秀逸です。
・ちょうちん
弾力のある伊達鶏もものすね肉に葱を挟み込んである。
一口でパクリといけば肉肉しい食感や葱の香り、こららを濃厚な卵黄がソースのように全てを包む究極の口内調理。
季節に応じて色々な地物野菜を用いて一口で表現する「鶏のすき焼き」をイメージしているそうだ。
凄い個性的で焼き鳥の表現方法ってまだまだ可能性があることを教えてもらった。
・自家製厚揚げ豆腐
揚げたての厚揚げを備長炭で焼き、上から鬼おろしの源助大根をたっぷり乗せて。
カリッと揚げ焼きされた厚揚げは香ばしく、中からトロリと柔らかい大豆の甘味が広がる。この食感コントラストがたまらない。
揚げたてを焼く事で脂切りとなるようです。
・大和肉鶏のセセリ
名古屋コーチンと軍鶏の掛け合わせ。地鶏ならではの強い食感と旨み。脂はそこまで感じません。
・高坂鶏のササミ
胡麻ダレと共に。
・ホロホロ鳥の白レバー
濃厚でいて透明感がある。柔らかい火入れにより口の中でトロッと溶け出す。臭みとは無縁。
・筍
石川県の筍。
・つくね
無農薬で蓮根を育てる「川端れんこん」を混ぜ込んだつくね。肉肉しさのなかにシャキッとした食感がアクセントに。
おろしには柚子の香りが爽やか。
・ホルモン焼き
食道、リンパ、首の皮、ハラミなど様々なホルモンを贅沢に一串に。
・手羽先
〆のご飯は2種類用意され、サイズを4種類から選択。どちらも中盛りを選択。
・鶏のスープ
・野セリと川端れんこんの塩そぼろご飯
そぼろ肉の薫香、セリの香りがめちゃいいです。
・筍入りの親子丼
先ほどの石川県の筍入りの親子丼。
この2つのご飯ものは季節によって変えているそうです。
・ブランマンジェ
日本酒「手取川」の酒粕を使ったブランマンジェと能登島の塩のゼリー。
「鳥しき」から受け継いだのは技だけではない。精神を受け継ぎ、名店をなぞるだけに非ず。
石川県で仕事をするには鶏以外の食材は地元のものを使い、前川大将のアイデンティティを串に注ぎ込む。
師匠を超える超えないではない。名店を経て、「蛤坂 まえかわ」というまた新たな道を作ることに成功している。
間違いなくここでしか食べることが焼き鳥をいただいた。ごちそうさまでした。
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