3回観た私は変態か?
売れないシンガーが迷い込んだ、地図にも載らない小さな村。その閉ざされた村で炸裂する血、豚、破壊、底なし沼、変態地獄の数々…。
「なんで僕がこんな目に! 僕はなにもしてないのに! ! ! 」その凄惨な猛地獄の果てに繰り広げられる狂気のダンス!
森に轟く断末魔の叫び! 本当に恐いのは人間だ…..。
ベルギー&フランス&ルクセンブルク合作のホラー映画です。
もうね、3回目の視聴です。
勘違いして欲しくないんだが私はこの映画が好きなわけではない。
ただただ後味悪いし気味悪いし。
初見の感想は「生理的に無理」。
一体なんちゅうもん観せるんだよと憤ったものだ。
時が経ってこの映画を観たことを忘れててもう一回借りてしまったのが2回目。
「あぁ、前にこれ観たよ。けどまた観るか。」って感じ。
その時も不快感MAXだった。
やっぱ観なきゃよかったと後悔。
で、さらに時が経ってどういう心境の変化か
「またあの不快感を味わいたいかも」などと思っての3回目の視聴。
あれ?二郎にハマる心理に似てる?
やっぱ変態かな?
日本やアメリカにはない独特な空気感
簡単に言うと売れないシンガーが地図に載ってない村で散々な目に遭うってだけの映画です。プロットはありきたりだし凄くわかりやすい。
でもこの映画には日本やアメリカにない独特な空気感があります。
「気持ち悪い」というか「なんか無理」みたいな。
例えば冒頭のシーンで婆さんが主人公の手を取って自分の股間にもっていっていくシーンとか。なんか気持ち悪いと思ってしまった。
暗闇の森の中でひたすら犬を探す男だとか、村人がピアノに合わせて奇妙なダンスをするシーンとかうまく説明できないけどとにかく居心地が悪くるなるシーンの連続。
日本のホラーともアメリカのホラーとも種類の違う独特な気持ち悪さがあります。
もっとも、アメリカ産ホラーはいきなりモンスターが襲ってくるとかばかりのエンタメナイズされたものばかりで全く怖いと感じたことがないけど。
気持ち悪いが決してつまらなくはない
ペンションのオッサンは主人公をいなくなった自分の妻だと思い込んで主人公を丸刈りにしてレイプする。
このオッサンどこかで観たことあるなと思ったら『カノン』のあのオッサンでした。どうりで虫唾が走るわけだ。
最初はいい人だけどなんだかちょっとづつ雰囲気がおかしいぞ?という切り替え具合が絶妙です。狂人やらせたら勝てないですね。
他にも村人の動物とのファックシーンなどイカレっぷりもなかなか。
スカート履きながら血だらけの丸刈りになって森を走るシーンは見ごたえがある。
散々「気持悪い」と言いましたけど決してつまらなくはないです。
観始めると結局最後まで観てしまう。その力がある映画です。
いや、手放しで褒めたくはないですけどなんてったって私は3回も観てるくらいです。
見終わった後は二度と観るか!と思うけど数年後にまた観てもいいかなと思えるから不思議な作品。
妙に色気のあるブスみたいな。
個人的にラストはもうちょっと救いがない方がいいかな。
さらに行ききってほしかった。
観る度にラストのしりすぼみ感が気になります。
この映画がきっかけでヨーロッパのホラー映画ちょっとづつ漁ってます。
ずっと曇ってる様な陰鬱なあのヨーロッパのおどろおどろしい感じがクセになります。
あれ?自分も変態村の一員なんじゃないかって思えてきた。
コメント
後味の悪い映画で思い出す最悪の映画は、自分にとっては「Mist」です。見終わった後に後悔する映画でした・・・
変態村って…名前がすごいですね。
自分が思い浮かんだのはリンチのイレイザーヘッドですかね。見たいわけではないのに見ちゃう。そして、自分がもしかして、そっち側なのかって一瞬思っちゃうところなんかが似てるかと。見てみないことには分かりませんが、レンタル屋さんだと借りる勇気も必要ですね。
イレイザーヘッドについては、自分のサイトでもたまたま書いたところなので、よかったら是非。(http://txt87.xsrv.jp/2018/05/26/是枝裕和監督受賞記念-カンヌ映画祭ってどうよ?/cinema/)