クリスマス・イブの茨城県大洗海岸。冷たい風が吹き荒れる真冬の海の家に5人の男が1通の手紙で集められた。差出人はみんなの憧れのマドンナ江里子。“まだ、海の家残っているみたいですよ。もしよかったら、イブの日にまたそこで会いたいな”という胸ときめく手紙。なぜ彼女は5人を呼び出したのか?それぞれナンクセありの男たちは迷うことなく、ひとつの結論にいたる。
《この中に江里子の本命がいるぞっ!》
本人不在の中、「江里子が好きなのは自分だ」と男たちの猛烈なアピール合戦がスタート。そこへ現れた厳格な弁護士・関口。くだらない争いを解決するかと思いきや、まさかの参戦。このどーしようもない争いの果てに待ち受けるキセキの結末とは!?
ピークは前半
この作品は「勇者ヨシヒコ」シリーズで知られる福田雄一の戯曲を映画化したもの。
率直な感想は映画化する必要あったかな?と言った感じ…笑
映画というコンテンツを活かせておらずちょっと勿体ない感じがする。
これなら舞台でよかったかもな。
話は海の家でバイトをしていた野郎達とマドンナを巡る密室劇。
マドンナはその場では出てこず基本は男どもだけの会話で進む。
話のきっかけは野郎達がマドンナから手紙をもらう。
「まだ、海の家残っているみたいですよ。もしよかったら、イブの日にまたそこで会いたいな」
野郎達は自分だけに手紙をくれたと思っていたがどうやら全員に同じ内容の手紙が送られていた。
野郎達はマドンナをものにしたいが故にそれぞれが「俺が本命だ!」と主張し合う。
だがそこに海の家の撤去を求める地域住民から依頼を受けた弁護士である安田顕が現れ、誰がマドンナにふさわしいか一人一人事情聴取しいき、次々と野郎達の盛りまくった妄想を指摘していく…
というこの前半まではかなり見応えがあって笑わせてもらった。
特に安田顕がマドンナに会ったこともないのに「私も好きだ。かなり理想的なタイプだ。」と言い始める辺りなんかは最高。
全員真面目にふざけてる感じがたまらない。
だけどピークは前半までで後半はしんどかったかな。
その原因は脚本の弱さもあるんだけどなによりも白石卓也の登場だ。
名指しで悪いんだけど彼のの演技が下手すぎて観てる方がだんだん恥ずかしくなってくるレベル。
確かにマドンナを装ってみんなに手紙を書いていたという非常に重要な役ではあるがちょっとこの役者は酷い…
福田雄一がなぜ彼をキャスティングしたのか最大の疑問だ。
白石卓也が出てから一気につまらないものになり空回りの役なんだけど本当に空回ってるから恐ろしい。
だから1時間くらいで白石卓也が出てくる前でパッと終わらせておけばかなり面白い作品になっただろうな。
安定の福田雄一節
出てくるキャストは山田孝之、佐藤二郎、ムロツヨシと完全に「勇者ヨシヒコ」。
だけどこの三人はとにかく安定している。
山田孝之のストーカー気質の壊れっぷりも、ブスの彼女がいるくせしてに浮気したいとかいうゲス野郎のムロツヨシ、海の家のオーナーだけどバイトのマドンナに手を出そうとする独身の佐藤二郎。
そしてそこに個性派俳優の安田顕とは素晴らしいキャスティング。
もともと安田顕は舞台で光る俳優さん。
だからこの舞台っぽい映画でも抜群の存在感を放つ。
それ故、他の実力のない俳優が目立つ…
しかし誰が観ても「福田雄一だ」とわかる演出って凄いよね。
素材はいいだけに尻つぼみになってしまった勿体無い作品。
福田雄一も映画向きではないのかもなぁ…
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