1995年/ドラマ/185分
蛍は妻子ある医者と不倫して駆け落ち、純はAVに出演した過去をもつシュウと恋愛。
今回もなかなかハードな内容。
五郎も色々子供達に振り回されて大変だわな。
そして今回は純の初恋相手であるれいちゃんとの決別の回でもある。
「私、プロポーズされたの」
あれ?れいちゃんって純と付き合ってたはずじゃなかった?
親にも紹介される状況ってことはまさかれいちゃん純と二股かけてたのかな。
そして自分の結婚式当日の早朝に元カレの純に電話をかけて「もしかしたら純君の事がまだ好きかも」的なこと話すってちょっとこの女イタいだろ…
ここにきてれいちゃんの行動がブレブレになってきたように思える。
複雑な女心を表現してるんだろうけど実際元カノからこんなことされたらたまったもんじゃない。
本作では純が捨てられた粗大ゴミを拾って自身の生活用品に当てていたり、五郎が生ゴミを盗んだり、シュウの祖父の形見の時計を拾ってきたりと随所随所に「人の物をとる」という話が盛り込まれている。
これは紛れもなく人の旦那を取った蛍の話の伏線だろう。
映画「卒業」の花嫁を奪うシーンについて語るのも同じ要素だ。
こうやって見返すと結構細かいんですね、倉本聰先生。その巧みな脚本に改めて驚かされる。
蛍から浮気されたにも関わらず蛍の精神状態を心配する緒方直人、優しいな。
以前のレビューで「魅力0」と言ってしまって本当に申し訳ない。
けれど不倫相手はそんな緒方直人とは真反対のようで周囲から浮いてる変わり者みたい。
蛍って意外と振り回されたい人なのかな?
そんな蛍の不倫相手の「嘘は幸せを保つ人類最大の発明である」という言葉が何気に名言かもと思ってしまった。
だって五郎も蛍の不倫相手の妻である大竹しのぶがやってくるまで凄い幸せそうだったし、純も彼女のシュウのAV出演を知るまで平穏な日々を送っていたもの。
今まで自分の感情をあまり出してこなかった蛍がここで一気に暴走モード。
褒められることでは無いけど後悔ないようやれ!って感じ。
本作から登場した宮沢りえ演じるシュウは正直個人的にドストライク。
五郎もシュウといる時凄い楽しそうだし、一番しっくりきてると思うんだけどこの後の作品では別れが待ってるんだよね…
五郎との温泉シーンの美しさと言ったら…
間違いなく名シーンでしょう。
三時間も喫茶店で純を待ってるなんて健気じゃないか。
このシーンも携帯がないからこそのシーン。
いまならLINEで「まだ?」で終わるもん。
95年というとちょうどWindowsが販売されてネットが普及した年。
相手を想ってじっくり待ったり、手紙を書いたり、色んなものが時代が便利になるにつれてそういうものがここからどんどん消えていくターニングポイントになった時代。
なんだか感慨深いです。
良い作品ではあるけれど縦横無尽に飛び回る蛍と比べると純の話が少し弱い気がするかな。
むしろそんな妹に振り回されたりシュウに振り回されたりちょっと気の毒に思える。
さて、次は問題作である「’98 時代」を観るとしよう。
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