毎回一風変わった和食を出してくれるお気に入りの「日本料理 44A2」。
場所は広尾だけど恵比寿駅からでも歩けないことはない。徒歩12分くらい。
本日は常連のための常連だけのための特別な「変態コース」。
日本料理をベースに時に少し角度を変えた見せ方をしてくれるヨシアツだけど、今回は変化球メインのコース。
かつてやったこともないしこれからも多分やらないこの日だけの幻のコースである。
大将: 福島良篤さん
香箱蟹とグラニースミス
グラニースミスは甘くないリンゴなので蟹の味を邪魔せず清涼感がプラスされる。
小肌の棒寿司
鮨屋では絶対みない一品がきた。天草の小肌を酢飯と海苔でいただく。
天日干しトウモロコシの白和え
白和えの上には乾燥させて天日干しにしたトウモロコシを。水分を抜いていって旨味を凝縮する江戸前晋作の天ぷらからヒントを得たらしい。ポリポリかじっていくとトウモロコシの甘みや香りを存分に堪能できる。
くも子のお寿司
酢飯の上に揚げた白子と白トリュフ。
つぶして酢飯と合わせることで白子のミルキーさに酸味が加わる。ブラックペッパーがいいアクセント。
源助大根のお椀
加賀野菜の源助大根。
めちゃsimple。大根は甘味が美しい。
鰆
答志島の鰆に煎りたての胡麻をふったもの。
脂がのりまくった鰆に胡麻の華やかな香りが加わる。
海老芋のかき揚げ
富田林の海老芋。
はんなりとしてきめ細かく、パサつきなくしっとりと上品に。
出汁による海老芋の香りはよく、衣で旨味をコーティング。地味だけど今日一の感動。
鰻の蒲焼と舞茸のクッキー
鰻、マロングラッセ(栗の砂糖漬けの菓子)、舞茸のクッキーという物凄い組合せ。
説明できない奇抜さだけど味わいの合致に一同衝撃が走った。
しんとり菜の胡麻びたし
口直し。しっかりとコースとして緩急ついてます。
松葉蟹のコロッケと近江かぶらのすり流し
蟹クリームコロッケなんてものじゃなく、ずばり蟹コロッケである。蕪の甘味が蟹に優しく寄り添う。
中落ち丼
卵ご飯、鮪の中落ち、ニンニクチップ、白髪ねぎ、白トリュフというもはやなんでもありな丼。ジャンクだけど美味しくいただけました。
そして不敵な笑みを浮かべ「スペシャリテ」と言って出してきたのがツキノワグマの麻婆豆腐。
「出すの2回目ですけどね」
ってそれスペシャリテじゃねぇじゃん。というツッコミを入れつつも、ニンニクの後なので妙に納得したり。
熊なので普通の挽肉より力強さがある。
熊肉特有のジビエ臭はなく、肉の旨味が溢れる。麻婆はまさに旨辛。
ラフランスのクリームチーズプリン
お会計は約28,000円。
これほど個性的でインパクトのある和食がかつてあっただろうか。日常にそっと馴染むのが日本料理だとしたら完全にそれを壊しにかかってる。
だが大将は決してふざけて狙ってるわけではなく、様々な経験、豊富なアイディアからどうしたら美味しい料理になるかを模索し結びつけようとしているから。だからそこに不思議と嫌味がない。これだけ奇抜なのに嫌らしさがないことの凄さに加え、大将のひょうきんなキャラクターがなんとも言えない魅了に昇華している。
奥さんの純粋無垢な接客の良さも付け加えておく。
ごちそうさまでした!
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