夢を叶えたい人々が集まる街、ロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは女優を目指していたが、何度オーディションを受けても落ちてばかり。ある日、ミアは場末の店で、あるピアニストの演奏に魅せられる。彼の名はセブ(セバスチャン)、いつか自分の店を持ち、大好きなジャズを思う存分演奏したいと願っていた。やがて二人は恋におち、互いの夢を応援し合う。しかし、セブが店の資金作りのために入ったバンドが成功したことから、二人の心はすれ違いはじめる・・・。
結ばれない2人
この映画ってどこか新海誠の『秒速5センチメートル』とかぶったりするんだよな。
結局色々あって2人とも別れる。
状況は変わりそれぞれの道を目指すというパターン。
男は引きづり、女はさっさと他の男を見つけて結婚する。
うん、好きですね。
このパターン。
この映画、何がいいかって観てる人に想像させるでしょ。
セバスチャンとミアのその後を。
映画とか小説とかって作者が作るのって9割でいいと思うんです。
あとの1割は受け手側が想像したりして補完してはじめて作品は完成する。
受け手側それぞれの物語ではじめて完成される。
ミアは女優として成功し、別の男と結婚する。
セバスチャンも相手はいないまでも念願のジャズバーを開店し夢は叶えたみたい。
ちょっと前のシーンでは二人とも「ずっと愛してる」的なこと言ってたからてっきりゴールインするのかなと思ったけど実際は違った。
やっぱお互い特殊な仕事をするって難しいよね。
愛だけでは乗り越えるのは現実問題難しいのもよくわかる。
どちらかがサポートにまわらないといけない特殊な仕事だし。
成功を勝ち取るには何かを犠牲にするしかなかった。
お互い相手ではなくそれぞれの夢を選んだまでってことか。
で、最後にセバスチャンのジャズバーに夫と一緒にミアがやってくる。
元彼の店だと知って驚くミア。
突然の元カノの来訪に動揺するセバスチャン。
セバスチャンが舞台に立ちピアノをしっとり演奏。
さて、これからが凄いシーン。
2人の出会いのシーンに一気に戻る。
あれ?どゆうこと?
観客はここで混乱が生じる
セバスチャンがミアをシカトした出会いのシーンだ。
だけど抱きしめてキス。
そうか、もしもシリーズの始動か
ここから「もしもこのままセバスチャンとミアがずっと幸せだったなら」というシーンの連続がミュージカルと共に押し寄せる。
新婚生活、妊娠、子供…
胸が痛くなるようなもしもシーンの連続…
明るい音楽に乗せてるだけに逆に辛くなってくる…
このシーンはミュージカルの本領発揮。
若干カオスめいてすらいる。
そして突然そのシーンは終わり美しくも悲しげなピアノを弾き終わるセバスチャン。
いまのは全て想像
2人は笑みを交わしミアは店を出る。
終わり。
いやはや鳥肌モンです。
このもしものシーンはセバスチャンのものかミアのものか観客は考えることになる。
監督のデイミアンチャゼルは明確な答えを出さない。
観客に1割を委ねる。
僕はどちらか一方だけでなくそれぞれ2人の想像なのかなと思う。
高速道路が渋滞してたので映画をやめて店に入ったくだりはミアしか知らないわけだし。
最初の出会いで冷たくしなければよかったとセバスチャンの後悔も感じられる。
セバスチャンは相手はいないがそれなりに充実した日々を送っている。
おそらく有名な女優になったミアが結婚したことは知っているはず。
その時点でやり直せるとは思っていない。
あえてセバスチャンはミアを見ないようにしてきたのかもしれない。
(ポスターを素通りするシーンがある)
だけど店の名前の由来は2人だけが知ってる思い出。
どこかでセバスチャンはミアを大事な人と思っていたのかも。
一方、ミアは女優として成功し幸せな家庭を手に入れた。
正直セバスチャンのことは忘れてたのかもしれない。
もしも自分の隣がセバスチャンだったら…と想像してみる。
この男女の恋愛の脳の違いがこのようなカオスめいた空想シーンを生み出したのかもしれない。
下手に泣くシーンがあるわけではない。
だけど誰しも身に覚えのあるような「もしもこの人と一緒になっていたら」は観るものを感傷の世界へと引き込む。
内容がないと言う人がいるがラブストーリーってだいたい内容なんてないぞ?
これがつまらないと言う人は相手を想う恋愛をしてこなかったのでは?
いずれにせよ「このまま結ばれていたら…」という古典的だがこんなにも心を揺さぶるラストを用意してくれたデイミアンチャゼル監督は凄い。
次回作が楽しみだ。
コメント
youtubeでちゃんめるでコメントしている者です。
ブログ見に来ました。笑
ララランドのラストは切なくて映画館でうるっとしてしまいました。
また観たいと思って購入してたのですが、観てなかったので近々観たいと思います。