【映画】駆込み女と駆出し男「大泉洋主演映画で一番面白かった」

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目が離せなくなるテンポのいいヒューマンドラマ

質素倹約令が発令され、庶民の暮らしに暗い影が差し始めた江戸時代後期。鎌倉には離縁を求める女たちが駆込んでくる幕府公認の縁切寺、東慶寺があった。但し、駆け込めばすぐに入れるわけじゃない。門前で意思表示をした後に、まずは御用宿で聞き取り調査が行われるのだ。戯作者に憧れる見習い医者の信次郎は、そんな救いを求める女たちの身柄を預かる御用宿・柏屋に居候することに。知れば知るほど女たちの別れの事情はさまざま。柏屋の主人・源兵衛と共に離婚調停人よろしく、口八丁手八丁、奇抜なアイディアと戦術で男と女のもつれた糸を解き放ち、ワケあり女たちの人生再出発を手助けしていくが、ある日、二人の女が東慶寺に駆け込んできて…。


 

水曜どうでしょうの呪縛

大泉洋はいまや日本を代表する人気俳優。

しかしだ。彼の出ている映画を何本も観てきたけど個人的にはどれもイマイチな印象。

凄く悪いという感じでもないが格別いいというものがなく作品として60点くらいを連発してる感じ。

作品がよくないのか大泉洋というコミカルなキャラがうまく映画とハマってなかったのか。

俳優なんだから役者が役に合わせるのが普通だが「水曜どうでしょう」で彼が学生の頃からずっと観てきているものにとってやはり「違和感」がつきまとう。

この感覚は多分私だけではないはずだ。

もちろんNACSの舞台もほとんど観て彼の演技にたくさん泣かさてもいるんだけどどうしてもどこかに「水曜どうでしょう」の大泉洋がつきまとっている。

これはもう宿命なんだろうし大泉洋もいい意味でも悪い意味でも「水曜どうでしょう」の呪縛から逃れたいと思って俳優業に邁進しているのだと思うが。

前置きが長くなったがこの映画を観て私の中でようやく「大泉洋の代表作」と言って差し支えない位の作品だと思ったのでここに記そうと思う。


 

マッチした配役

この映画の重要な要素として大泉洋の軽快な話し方があげられる。次から次へと巧みに言葉が出てくるその様はあの大泉洋そのもの。

役者としてそれがいいことなのかどうなのかは置いといて全くもって役に違和感がなくスッと入ってきた。まさにハマリ役。

特に嘘デタラメで相手を打ち負かすシーンなんてよくこの長台詞を覚えたなと感動すらした。

「役に憑依する」という言葉があるがこの役に大泉洋が完全に憑依していた。

このシーンでは音尾も出てきて水どうファンならニヤリとしてしまう。

あと相手役の戸田恵梨香もよかった。本人もサッパリした性格の様で映画の役と近い配役もより入り込みやすかったのもある。

だが戸田恵梨香も大泉洋と同じで他の映画でしおらしい役を演じるとどうしても違和感が生じてしまう。

そういう意味でも役者がバラエティに出たりするとそのイメージが役者の仕事に影響を与えるんだなと改めて考えさせられた。

ちなみに2人のキスシーンはとても愛くるしいものでほっこりしてしまった。


 

まとめ

江戸時代の離婚率は現代の2倍だったらしく夫から離婚の申し立てはできても妻からできなかったようだ。

そこで政府公認の駆け込み寺が作られ離婚したかったらここに入り24ヶ月間寺で奉公しないといけなかった。

江戸時代は夫から離婚することは簡単にできても妻からの離婚はいかにハードルが高かったか思い知らされる。

この映画ではそんなわけあり女性達の各エピソードを一本の映画にしたものでオムニバス的な要素が強い。テレビドラマの方が実は向いてるのかもしれない。

映画のテンポは非常によく節々に聞きなれない言葉などがあってなかなか一度で理解するには難しいかもしれない。

個人的には当時、漁師が武士を殺すことは大罪だったという話が興味深かった。

夫は死刑、妻は狂い死に、娘の舌は焼かれるという滅茶滅茶壮絶なことを台詞でアッサリと言うもんだからちょっと戸惑うんだけどこうした当時の状況もサッと台詞に盛り込むあたりも単なるヒューマンドラマにとどまらない。


 

ラストはとてもアッサリとしており清涼感がある潔いエンディングでいつまでも余韻が残る。

いまは亡き樹木希林もいい味出していたり全体を通して泣いて笑って観た後ホッコリさせる。

このレビューを書いてるいまもなんだか暖かい気持ちになる。

久々に邦画でいいものを観た。

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