母とささやかに暮らしていたふたりの兄弟のもとに、家を出ていた父が12 年ぶりに帰ってきた。写真でしか見たことのない父の突然の出現に兄弟の思いは様々に揺れ動きとまどうが、父は無口で何の説明もしない。そして父は、ふたりを湖への小旅行に誘う。それは父子水入らずの、初めての旅だった。「今まで何をしていたんだ」。「どうして何も語らないんだ」。「いったいあんたは何者なんだ」。「なんで今さら、帰ってきたんだ」。兄弟の不信感が爆発したとき、旅は思わぬ形で終わりを告げる・・・。
ロシア映画ってはじめて観るかも。
あまり日本に馴染みがないよね。
いくつも賞を取った映画を観たんだけどこれがちょっとした問題作だったのでここに綴るとする。
以下、ネタバレ注意
未完成の映画
なにが「問題作」かっていうとまるで映画として完成していないということ。
子供2人と母親、祖母の4人で暮らしている家族がいる。
そこに12年ぶりに音信不通の親父が突然帰ってきて翌日子供2人を連れて旅行にいくことに。
親父は無口で無表情。
特に子供達と積極的にコミュニケーションを取ろうとはせず常に命令口調。
兄の方は親父に褒められる度に距離を縮めようとするけど弟は幼さ故に常に反抗的。
親父が何かをやらせようとする度に軋轢が生まれ親子仲はギクシャクに。
無人島に連れて行かれそこでついに子供の不満爆発。
弟は高台に逃げ、それを親父が追いかける。
なにを血迷ったか弟は「ここから飛び降りてやる」とか言うもんだから親父も上まで登ってくるんだけど手を滑らせ落下してあっけなく死んでしまう。
兄弟は親父の死体を運ぼうと船に乗せるんだけどそのまま波に流され海に沈んでいってしまう。
エンドロール。
え?
結局なんだったんだ?
話として親子の関係がうまくいかなくて旅を通して絆が生まれるとかそういったものを想像してたんだけど親父は弟のせいで死ぬとか予想外過ぎて唖然としてしまった。
これ観た人なら全員驚くだろうな。
だけどそっちのパターンならせめて最後はちゃんと終わらせて欲しい。
親父の死体が海に流された時に反抗的だった弟が「パパ!」と叫ぶのが唯一の絆のシーンってどうなのよ…
残された謎
他にもこの映画、穴だらけ。
謎が多過ぎてそれを全く回収することなく最後まで終わっていく。
例えば、
・12年間なぜ帰ってこなかったのか?
・親父は何の仕事をしていたのか?
・帰ってきた時の母親の微妙なリアクションはなんだったのか?
・なんで子供達を旅行に誘ったのか?
・親父は何の為にこの島にきたのか?
・島で掘り起こしていた箱の中身は何か?
思いつくだけでもこれだけある。
ちょっとこれは酷くないかな?
ほぼ観客に丸投げじゃねぇか。
「後は観客で想像してください」みたいな。
ある程度は監督が作ってあとの10%、20%は観客が想像するのならわかる。
だけど50%しか作ってないで「あとの半分は宜しく〜」みたいなのって監督業放棄してるでしょ。
それ許されるのは世界でデイビッドリンチ監督だけだよ。
親父は無口だけど確かに子供達に何かを教えたいんだろうなと言うのは伝わってくる。
それはレストランでの注文の仕方や、カツアゲされた時にカツアゲした犯人を連れてきて「やり返せ」とか言ったり、沼にハマった車の脱出方法だったり。
このままいけば無口で愛情表現が下手な親父と子供達との絆の物語となるはずだったのに。
いや、なりかけだったけど途中でブツッと切ったという感じで非常にモヤモヤする。
親父が無人島のある建物の地面から一生懸命になって箱を掘り起こすんだけどその箱の中身が何なのか一切明かされない。
それってあり?
箱を掘り起こしてすぐに「島を出るぞ」と子供達に言っていたことからこの島にきた目的はあの箱の中身だったということは想像はできる。
だけど「箱の中身は想像してね」みたいなのってある程度情報がないと想像すらできない。
というかこの映画、ヒントがなさ過ぎて考える気も失せる。
この様にこの映画は穴しかなくて全くもって未完成。
なんでこんな映画が賞を取るのか本気で理解に苦しむ。
子供達がバカ
子供達も子供達だ。
終始生意気な弟は論外としても兄貴もイラついて仕方がなかった。
「釣りをしたい」とか駄々をこねて親父から「3時半には戻ってくるんだぞ」と時計を渡されるんだけど釣りに夢中になって結果戻ってきたのは7時。
3時半も遅刻ってちょっと異常でしょ。
しかも兄貴の遅刻ってこの旅2回目。
親父と弟を置いてレストランを探しに行った時にも何時間も遅刻してたし。
人を何時間も待たせるって何かの精神的な病気だと思うんだけどそれも映画でははっきりしなくて「子供ってそういうもんでしょ」みたいな感じでザックリ描かれても流石にそれはどうなのかな。
私が子供の頃だってそんな遅刻はしたことないんだけど。
挙げ句の果てに「魚が釣れたから」とか「弟が誘ったから」とか言い訳しかしない始末。
親父が「時計はお前に渡していたんだから言い訳するな」と手をあげるのも凄く理解できる。
しまいには「お前なんか嫌いだ、殺せよ」って逆ギレ。
弟に至っては親父から盗んだナイフを向けるわでこの兄弟に対してイラついて仕方がなかった。
彼ら兄弟の成長物語にせよ、親子の絆の物語にせよかなり中途半端。
こんなんでいいなら何でもいいじゃん。
監督は新人でこれがデビュー作だそうだ。
今回は謎散りばめるだけ散りばめておいて回収せずに話途中で終わらせるだいぶ楽な仕事だったね。
でも次はないぞ?
ちゃんと作ればいい作品になっただろうに。
ちなみに言うと全体的にキタノブルーみたいな色のトーンとか、オープニングの入りだとか、抑えた音楽だとか嫌いじゃない。
それ故、作り方が凄く勿体無い気がする。
あと一つ気になったのが雨のシーンがやたら多かったけどロシアってそんなに雨多いのかな?
これだけボロクソに言っといて購入する人なんていないと思うけど一応リンク貼っときやす。
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