本日はミシュランビブグルマン掲載のラーメン店「銀座 八五」へ。
2018年12月にオープンし、瞬く間に話題となったお店である。
おかげで外には行列ができすぎてしまった為、いまでは整理券制となっている。
ずっと気にはなっていたが訪問ハードルが高めだったこともありずっと行けずじまいでいたが今回たまたま料理評論家の山本益博さんからお誘い頂きご一緒させてもらうことに。
場所は東銀座駅より徒歩3分ほど。
まるで鮨屋の様な高級感溢れる外観。
店内は8.5坪にカウンター6席のみと驚くほどコンパクト。
食券機を見ればラーメンは中華そば一択。
なんて潔いんだろう。
はい、「なぜ中華そばだけなのか?」と言うと他の味を作る事自体、物理的に無理だからである。
この店の最大の特徴はタレ(カエシ)不使用。
通常、丼にタレを入れてからスープを入れる作業があるがここではそのスープを一から作ってしまおうというラーメンの常識を根底から覆してしまうものである。
店主: 松村康史さん
かつての京都全日空ホテルで総料理長を務めたフレンチの巨匠が退職後に選んだのはラーメンの世界。
色んなラーメン店を何百軒と食べ歩き「旨いスープができればタレはいらない」という発想に行き着く。
このタレを使わない一からスープを作る発想は自身のフレンチの経験から来た様だ。
スープのベースは鴨と名古屋コーチン。
そこに昆布や干し椎茸、ドライトマトなどを使ってスープをとる。
作業はここで終わりで無く、冷やして一日寝かせ、生ハムのプロシュートを使って風味と塩味を足し、さらにフランスのゲランドの塩を加えて味を調整していくとのこと。
一杯のラーメンが完成するのになんと2日もかかっている。
よってスープはまさに「ここでしか味わえない完全オリジナルの味」であり、中華そば一択なのも頷ける。
ってまだ食べておらずうんちく語ってる間にラーメンができた様です。
味玉中華そば 950円
均一の取れた見事な盛り付け。
見た目の美しさに見惚れる。
具材は味玉、チャーシュー、九条ネギ、メンマとシンプル。
それではいただきます。
スープを一口飲んだ瞬間、私は混乱した。
人間、はじめて出会うものには経験が追いつかない為、脳がフリーズするらしい。
なんて表現したらいいのだろうか?
動物系の豊旨な出汁にプロシュートによる塩味、だけど塩ラーメンか?といわれるとそれもまた的外れである。
クリアでいて、コンソメスープの様に滋味深く「醤油ラーメン」や「塩ラーメン」と言った様なわかりやすい味のボーダーが一切ない。
まさにここでしか味わえない味。
麺は浅草開化楼の特注麺。
パツンと歯応えがあるが粉っぽさは皆無。
滑らかでいて舌触りよく時間が経っても伸びる事がない。
チャーシューは箸でつまむと崩れるほどの柔らかさ。
上にはフレンチで使うペッパーキャビアを。
味玉はスープの味を邪魔しない様に味付けされ、トロンと流れ出ることはない。
これはスープを汚さない為。
確かに黄身が流れ出てスープが濁る味玉があるけどあれだとせっかくのスープが勿体ない。
絶妙な温度帯で火入れを止めてあるあたり、思わずニンマリとしてしまう。こりゃ本物だ。
メンマは存在感ある太さでコリッと爽快な歯応え。
ペッパーキャビアを少しづつ混ぜていくとまたスープの印象が変わってくる。
やってる事はかなりオルタナティブなんだけど軸は昔ながらの中華そばで全く外れた事はしていない。
まさにこの一杯に料理の完成系をみた。
店は8.5坪、中華そばの価格は850。
全て店名の「八五」にかけてある。
「八」は富士山を見立て、「五」は初心を忘れずにということで「自分がいる位置は富士山の五合目」という意味。
それでもこれだけの手間をかけて作ってるんだから850円はやり過ぎです。
早急に1,000円に値上げしましょう。
まさにラーメン界の常識をぶち壊した一杯でした。ごちそうさまでした!
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