自分が今年食べたラーメンの中で特に衝撃を受けたラーメン店「桜上水 船越」へ再訪。
店主は私の好きな高田馬場の「渡なべ」で長く働いてこられた方。出身は多いが、弟子と呼ばれる人は店主で5人目なんだとか。
店は桜上水駅よりすぐの甲州街道沿いに位置し、いつ行っても行列ができている。
オープンは2023年1月15日。本当は昨年オープンする予定だったが、店主曰く「全然味が決まらなかったから」だそうだ。
「渡なべで長くやってて自分はできるだろうって天狗になってたんだと思います。
だけど周りの人気ラーメン屋のレベルの高さにどんどん焦ってきてしまって。自分は果たして生き残っていけるんだろうか?と最後の方は本当に不安だらけでした。いまも正直不安なんですけど。」
いやいや、これだけ人を呼べてるしもっと自信持ってください…笑
さて、この日も15時の閉店時間ギリギリに訪れたが、まだ列ができているからすごい。平日だよ?みんな仕事しよ?自分もだけど。
今回、調理風景も撮影させていただいたのでもし良かったら私のYouTube動画をご覧ください。
この動画を観るなら一番下のリンクから❗️
・ワンタンメン(塩) 1,200円
スープは油で膜が張ってる。見るからに濃厚そうだ。
具材はチャーシュー、葱、青菜、メンマ。
豚や鶏などの動物系の出汁をメインに、5種類の煮干しや昆布の旨みをプラス。
豚、鶏などを使ったガッツリ動物系によるミルキーなスープに鼻を抜ける煮干しの香り。円やかで濃厚でいて、だけどネガティブなものが一切ない。
本当にうっとりさせられるバランス感で、一口目からしっかり胃袋を掴みにくるスープである。
トロミはあるのに口の中でずっと残らないから不思議だ。さらに胡椒が効かせてあったり、濃厚なのに決してダレさせない工夫が凝らしてある。
麺は三河屋製麺の特注麺。三河屋製麺って特注麺出すの?とラーメン好きなら思う方もいるかもしれないが、そこは渡なべとの長い付き合いだからこそ。
直前にしっかり手揉みされた太縮れ麺は小麦の香りと、食感を楽しませてくれる。昨今のしなやかな加水率の高い麺とはまた一線を画す。
辣油はスープに落とさず、レンゲに辣油を垂らし、ワンタンをつけていただく。あら、本格中華店かと思うほど辣油の香り高さに気付く。
この辣油もまた自家製だと言う。
スープに辣油を入れれば仄かにピリ辛と風味が加わり、またスープがガラッと表情を変えてくれる。
辣油は「諸刃の剣」で一気に「辣油味」となってしまう危険性をはらんでいるが、この堂々たる出汁の土台のおかげでかき消されるどころか、しっかりとした足し算が一気に最後まで駆け抜けさせる。
塩ラーメンをガッツリ食わせる。
いやぁ、食べたことがない塩ラーメンである。
「特別な事はしてないんです。他のラーメン店は地鶏使ってますけどうちはブロイラーですし。
いまの綺麗なラーメンもいいんですけど、もともとクラシックなラーメンが好きなんで、もっと肩の力抜いて自分がやりたいラーメンを作っていったらこうなりました。最初からこうなったわけじゃなくて、試行錯誤していったらこのスタイルに行き着きました。
いまだに正解がわからない。
答えがないから悩む。
悩んだ分だけ答えがある。
名店でしっかり腕を磨いた店主の苦悩の分だけラーメンが美味しくなっていくのかなぁ。ごちそうさまでした。
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