東京・銀座にあるフレンチレストラン「ロオジエ」。
1973年創業の資生堂が経営する老舗レストランです。
ミシュランガイド東京2025にて7年連続で三つ星を獲得している日本を代表するグランメゾン。
「ロオジエ(L’OSIER)」の由来は銀座にゆかりの深い「柳」を意味するフランス語「osier」から命名されている。
フランス人シェフであるオリヴィエ・シェニョン氏は三代目。三つ星を守り続けるプレッシャーって凄いんだろうな。
グランメゾンなので男性はジャケット着用必須。夏は地獄だけど冬なら平気さ。
重厚感ある扉を開けると目の前には絢爛豪華な空間に螺旋状の階段。
白、ゴールド、透明感、ガラス、光をキーワードに構成された9mにも及ぶ吹き抜け空間。
非日常を誘うように階段を降りてメインダイニングと個室がある地下一階へ。
まずロオジエで感じたのがサービスのホスピタリティの高さ。
動画を左からの画角で撮影していたところ、「では右からソースをおかけしますね」と臨機応変に対応してくれたり、わざわざキッチンを見学させてくれたりと細やかなおもてなしが素晴らしい。
はじめて訪れる三つ星レストランで緊張しない者はいない。だがここではそんなお客の緊張感を丁寧にほぐしていく。あぁ、この居心地の良さはだから三つ星なのねと納得させられる。
緊張していてはせっかくの料理を美味しくいただけない。彼らのサービスはいかに料理を美味しく食べてもらうか、調理ではない方法で料理を美味しく仕立てるサービスとしての仕事の重要性を再認識させられる。
シェフのオリヴィエ・シェニョ氏は超繊細でアーティストと言ったイメージだ。
ピンセットを使いまるで絵画を思わせるような食材の彩りを丁寧に配置する。うわぁ、気が遠くなりそうだ。料理人たちの悲鳴と美しさが皿を通して伝わってくるようだ。
香りや味わい、テクスチャを散らす料理だけではなく、この日のメインは超王道フランス料理の牛頬煮込み。え、ここでこんな王道料理でるの?と思ったがこの煮込みのクオリティ、ソースに驚かされた。
そうかオリヴィエ・シェニョシェフの力量がコースを通して伝わってくる。
そしてパティシエたちによるデゼールでコースを〆る。
レストランを出るころには「三つ星?だよね。」と納得させられ帰路に着くことになる。
【LUNCH】MENU DÉJEUNER 17000円
・フィンガーフード
①ヨーグルトを練り込んだリーフ型チュイールにナツメヤシのピューレ、トップには白バルサミコでマリネしたハート型の人参。
②竹炭を練り込んだ生地(パンスフレ)にビーツのクリーム、根セロリのグレック、チョリソー。
③十勝産チーズ【age】を練り込んだツリー型サブレ、チーズのクリーム、黒トリュフ。
これは計算された食感、香り、そして視覚も楽しませ、これから出てくる料理に期待感が膨らませてくれる。美しいだけでなく、しっかり美味しい。
・カンパーニュ(ライ麦パン)と4種類のパン
バケット、栗、オリーブ、バターのパンから選択。
ワインであっという間に膨れるパンはちゃんとペースをコントロールしながらいただきましょう。
それに樹齢1000年を超えるオヴェルデ王国のオリーブオイルが大変素晴らしく、スパイシーで旨味に深みがある。この先こんなうまいオリーブオイル口にすることあるのかな?
・アミューズブッシュ
中層下は濃厚な蕪とマコモダケのブルーテ、上は軽やかな蕪の葉とほうれん草のピューレで仕上げた野菜のエキュームと上下の二層構造。
一見シンプルなグリーンの見た目のなかに酸味と優しい味わいと濃厚さの濃淡がある。
中にはぷちぷち食感のテュミットペッパー風味の香ばしいワイルドライス(イネ科マコモ属の植物の種子)とひよこ豆、柚子のコンフィで香りや味わいを散らし最後まで飽きさせない。
・前菜
バーベナペッパーでマリネした北海道産ボタン海老・菊芋のムースリーヌ・キャビアとクリュスタッセのジュレ
ドットは文旦のジュレで、上から甲殻類のヴィネグレットソースをかけて。
こちらも大変細やかな食材配置に驚かされる。見た目から美味しさが伝わる。
ねっとりと甘みと旨味に溢れた牡丹海老にキャビアや菊芋のムース、アンディーブなどの野菜、セミドライキャビアはカラスミのようなニュアンスで味わいにそれぞれアクセントをもたらす。
甲殻類のヴィネグレットソースは甲殻類の香りとビネガーの酸味のバランスが大変素晴らしい。
様々な食材が表情を表し、食べる場所によっても味わいが異なる。色彩豊かで味わいも豊かだ。
「美しくして美味しい」をそのまま体現した料理だ。
・国産牛ほほ肉のブレゼ ペンジャペッパー・エシャロットキャラメリゼを詰めた人参のリュバン・ジャガイモのクリスティヤン・野菜のラヴィオリ・ソースヴィオリーヌ
メインは牛頬煮込みというフランス料理の超王道メニュー。
牛頬肉に沢山塩で下味を付け、煮込む。煮汁は長時間煮込む事により煮詰まると共に塩気が強くなり過ぎる。
だからソース用のものは同じワインを使用してわざわざまた別に仕上げて最後にサーブしている。
この赤ワインソースがべらぼうに旨いんです。濃厚で深みに溢れているのに軽やかという矛盾。
頬肉はとろっとろ。極限まで煮込まれてはいるが頬肉としての食感はちゃんと残してるのが凄い技術力。
エレガントだけどどこか家庭的な王道メニューだからこそよりシェフの凄さが伝わります。
・お口直しのシャーベット
リンゴ、イチゴ、パイナップルのシャーベット、シャンパーニュのゼリー、果物、人参のコンフィ。
人参の食感がアクセントになってます。
・プレ デセール
チョコレートかけのレモンフレーバー、ヨーグルトのムースのタルト、キュウイフルーツを使ったタルト、アールグレイの香りをまとわせたお菓子。
・メインデゼール
ヘーゼルナッツとレモンを使ったさっぱりとしたメインデゼール。
・フリヤンディーズのワゴン
全部で30種類以上のお菓子をパティシエたちが全て手作りしているから驚きだ。さらにこれ全てを食べる人間が存在することもより驚きだった。
本日のアルコール
約33,000円。
月並みな感想だが素晴らしい体験をした。腹を満たすだけの飯ではなく、体験としての食事。まさにレストランの醍醐味を教えてくれる。ごちそうさまでした。
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